私はアニメーションを商業面ではなく芸術表現のひとつの可能性として捉え、制作研究を行っています。アニメーションには多種多様な技法がありますが、私はその中でもロトスコープという技法に着目しています。ロトスコープとは、主にモデルなどを撮影した実写映像をベースにしてそれらをトレースすることでアニメートする技法です。アニメーション草創期の未熟なアニメーターでも簡単にリアリティのある動きを獲得できるようにするため、フライシャー兄弟によって1915年頃に発明され、1919年に「インク壷の外へ」で初めて公開されました。つまりロトスコープとは、ある世界を描くための運動説明のツールとして開発された技法だといえます。私はこの点を既存の動画から動きをトレースするという運動剽窃として捉え直し、現代の錬金術として独自のロトスコープ論を構築しています。ダダ・シュルレアリスムなどの前衛芸術の発生や思想と奇妙にシンクロする忘れられた前衛の手法として、映画と美術の境界を溶解させるひとつの方法として、分離と結合そしてそこで起こる変容を知覚させるアナロゴンとして、ロトスコープアニメーションを実践しています。

岩崎宏俊